男性型脱毛症(AGA)

男性型脱毛症(AGA)は、成人男性の前頭部や頭頂部の毛が一定のターンで薄くなるのが特徴。早い人では、思春期を過ぎた頃から発症します。40代の男性では発症率が30%とされて、3人に1人ぐらいの割合で発症する。脱毛症としては、一番多い症状。

脂漏(しろう)性脱毛症

この脱毛症は、男性型脱毛症(AGA)とほとんど同じ症状の脱毛症で、フケと関係のある脱毛症ですが、粃糠(ひこう)性とは違い、抜けた毛の根元部が脂っぽくベタッとしているのが特徴です。過剰な皮脂分泌が主な原因と考えられますが、食生活の偏り、ストレス、マーガリンやショートニング、硬化油などのトランス型脂肪の摂取、それに頭皮の手入れ不足、喫煙、清涼飲料水の取りすぎなどで悪化することが考えられます。

壮年性脱毛症

この脱毛症は、異常脱毛ではないのですが、加齢から来る脱毛症です。壮年性脱毛症は、青年期から壮年期の男性に見られる、男性型脱毛症(AGA)のひとつで、年齢と共に壮年性脱毛症にかかる確率は上がり、若い段階で発症すると、若ハゲと呼ばれることも。壮年性脱毛症になると、主に頭部の前方やてっぺんが抜け毛になったり薄毛になったりし、最終的には髪の毛がなくなってしまいます。

びまん性脱毛症

女性を悩ます脱毛症のほとんどが、びまん性脱毛症です。びまんとは、一面に広がるという意味です。全体的に均一に脱毛がおこります。びまん性脱毛症は男性型脱毛症(AGA)と同じく、成長することを休んでしまう休止期の毛の割合が多くなり、その結果、抜け毛が増え脱症と進んでいきます。 しかし、びまん性脱毛症が男性型脱毛症と異なるのは、前頭部の生え際の後退ではなく、頭皮全体の毛がぬけることです。よって脱毛部の境界がはっきりしません。原因としては、遺伝・偏った食生活・ストレス・過剰なダイエット・間違ったヘアケアなどがあげられます。

代謝異常性脱毛症

この脱毛症で抜け落ちた毛の毛根部は、非常にゆがんだ形や蛇がどくろを巻いているような形や、あるいは毛幹が極端に細くなっていたりなど、ひどい場合は、毛球自体がなくなっています。原因としてはホルモンバランスの崩れ、食生活の偏り、ムリなダイエットの悪影響、極端な夜型生活、環境ホルモン、薬物の作用などが考えられ、身体の不健康からの脱毛症と考えられます。

牽引脱毛症

長時間毛髪を強く引っ張られることにより発症する脱毛症のことで、女性に多い脱毛症と言えます。ポニーテールやアップ、近年ではエクステなどのように強く引っ張られていた髪お生え際や分け目の部分の毛が細くなったり、切れやすくなるなどして地肌が透けて見えるようになる症状です。
髪が強く引っ張られることによるダメージの蓄積による脱毛という原因がしっかりと分かっていますので、他の脱毛症のように生え際に育毛剤を塗布しても問題の解決になりません。根元に負担をかけてしまうような髪型を避けたり、負担がかかる髪型は連続してしないといった対策が有効です。

円形脱毛症

この脱毛症は頭に十円玉大の脱毛部分が出来る自己免疫病です。 やや女性に多い症状であり、女性の場合、生理や出産などにより悪化または治療することがあります。
年齢分布は、30歳以下で発症する割合が8割以上と多く、特に15歳以下の発症例が全体の25%をしめているなど若い世代に多いのが特徴です。
比較的、女性に多いのですが、老若男女問わず発症する一般的な病気となっています。
経度の円形脱毛症であれば、3ヶ月ほど放置しておけば自然と治療します。過度なストレスによるものであっても、自己防衛反応であっても、焦らずゆっくりと毛が生えてくる状態に戻していかないと再発する可能性が高くなります。

薬剤脱毛症

薬剤を投与することにより脱毛症の症状が出ることです。 特徴としては、AGAのように前頭部や頭頂部などの局所的に毛が抜けていくわけではなく、頭髪が全体的に薄くなったり、細くなったりする症状が出ます。有名なのは、ガン治療の際に用いられる抗がん剤や、C型肝炎の治療の際に用いられるインターフェロンなどです。正常に活動していた毛髪の新陳代謝を薬が妨害した事により抜けてしまったという事になりますので、薬の投与も中止すれば育毛や発毛の対処をしなくても、次第に回復していくものです。
ただ薬剤の投与により完全に毛髪を消失してから、時間が経過してしまった場合は、毛根がその機能を失ってしまうことになり、髪の再生は非常に困難となります。

粃糠(ひこう)性脱毛症

この脱毛症は欧米人には少なく、日本人の男性より、特に40代以上の女性に多くみられます。乾燥した大量のフケが出ることが特徴で、皮脂欠乏症、皮脂欠乏湿疹をともなうこともあります。この脱毛症によって抜けた髪の毛の毛根部分はおたまじゃくしの尻尾のようになっています。体質的な要素が大きく、食生活の肉食への偏り、油脂の摂取量やその質、また冷え症や加齢、頭皮の手入れ不足などの原因が重なり薄毛を招いたり、脱毛が悪化したりする。

殺菌(円形、多発)性脱毛症

殺菌性脱毛症には2種類あり、脱毛が一箇所だけ起こるものを【円形型脱毛症】、複数の箇所にできるものを【多発性脱毛症】、といいます。以前は後頭部の襟足に発症する円形脱毛症がほとんどでしたが、近年では側頭部などに複数発症する多発性が増えています。精神的なショックやストレスで発症するのではなく、頭部常在菌と免疫の関係が主な原因と考えられます。他の脱毛症と複合的に作用すると回復が難しく、また長引きます。

抜毛(ばつもう)症

正常な毛を自分で抜いてしまう抜毛症(脱毛症)で、学童期の子供に多い一種のクセで、精神的なストレスが引き金になることが多い。頭部の一部を指でつまんで抜くため、脱毛箇所は不規則な形をしています。

女子男性型脱毛症

女性にも男性型脱毛症が起こる場合があります。男性型脱毛症の原因はデヒドロテストステロンと言われますが、これは女性の体内でも生成されます。女性の場合エストロゲンとプルゲステロンという物質が、毛根を破壊しようとする、デヒドロテストステロンを保護しますが、年齢が増すにつれ、(特に月経閉止期後)エストロゲンレベルが不安定になり、デヒドロテストステロンの発生が増す事により女性にも男性型脱毛症が起こるようになります。

分娩後脱毛症

妊娠後期に成長期の毛髪の割合が増え、これが出産後に休止期に入るため、出産後しばらく抜け毛が多くなり薄くなることもあります。一目でわかるようなひどい脱毛症ではありません。※自然に治ります。

神経性脱毛症

この脱毛は、ストレス過多などの精神的なものが影響して起こる脱毛症のことで、ストレス性脱毛症とも呼ばれています。 境界が不明で不正形線状や地図状に抜けてくる場合が多く、原因の多くは、円形脱毛症と同様に神経性の血管障害といわれています。 怖いところは、髪の毛だけにとどまらず、全身に脱毛を招いてしまう可能性があることです。 円形脱毛症と似たような症状や広がり方をみせますが、経性脱毛症の場合には脱毛部分が円形に抜けていくわけではありません。 食生活やライフスタイルの不摂生などが重なってしまうと、症状が悪化してしまう可能性があります。

先天性無毛症

生まれつき毛根が存在せず、毛が全く生えてこない遺伝性の病気のことです。全身性無毛症の場合には、皮膚や爪、歯等に異常を併発する場合があります。髪が生えている場合でも、生まれつき髪が異常に薄く、完全に生え揃わなかったりする場合には無毛と区別され、先天性乏毛症と呼ばれています。
どちらも遺伝的要素の強い病気です。一般的な脱毛症と違い、遺伝的な要素が100%となる無毛症の場合、育毛剤や発毛を促すことは不可能と言えます。
また、それらの遺伝子に変化を及ぼすような薬剤による治療法も、現時点では開発されていません。